Wednesday, September 07, 2005

「監査リスク」(監査基準委員会報告書第28号)

監査基準委員会報告書第28号「監査リスク」(平成17年3月31日)

この報告書は、一連のリスク・アプローチに関する監査基準報告書改正のうち、概論部分にあたる報告書であり、監査リスクに関する指針を提供している。

この報告書で新たに取り上げられている概念は、事業リスク、経営者の主張、重要な虚偽表示リスク、リスク評価手続、リスク対応手続である。

事業リスクについては、監査人は、財務諸表に影響を与える事業リスクにのみ着目するとされている。

経営者の主張とは、財務諸表の基礎となる取引や会計事象等の構成要素が一定の要件(実在性や網羅性など)を充足しているという経営者の主張のことであり、国際的には、アサーションと呼ばれる。監査人は、この経営者の主張を監査要点として利用して、財務諸表の適正性を立証していく。

重要な虚偽表示リスクとは、固有リスクと統制リスクという2つの要素を結合したリスクである。監査人は、重要な虚偽表示リスクを評価するための手続(リスク評価手続)を行い、さらに、評価したリスクに対応するため、統制テストと実証手続(あわせて「リスク対応手続」)を実施する。

JICPAジャーナル2005年6月号 P.89~91