監査基準委員会報告書第31号「監査証拠」(2005年3月31日)
監査人は、十分かつ適切な監査証拠を入手して、監査意見を形成するに足る合理的な基礎を得なければならない。本報告書は、監査証拠の概念を明らかにしたうえで、その十分性・適切性、及び、監査証拠入手のための監査手続について指針を提供している。
監査証拠は、会計記録に含まれる情報(起票や入力データの裏付けとなる記録を含む)とその他の情報(質問・観察・閲覧等から監査人が入手した情報など)から成る。
監査証拠の十分性とは、証拠の量の問題であり、適切性とは、適合性や証明力といった質の問題である。通常、質の低い監査証拠を数多く入手したとしても、十分かつ適切な監査証拠とはならない。
監査人は、経営者の主張を監査要点として利用する。本報告書の17項で、経営者の主張の分類が説明されているが、それと異なる組合せや表現にすることもできる。
さらに、本報告書では、監査手続として、(1)記録や文書の閲覧、(2)有形資産の実査、(3)観察、(4)質問、(5)確認、(6)再計算、(7)再実施、(8)分析的手続、が挙げられ、説明されている。
JICPAジャーナル2005年6月号 P.120~123